第五話 11/1 レース最終日
祭りのあとの寂しさ

とうと、最後の日がやってきた
米国では11月1日から冬時間になり1時間ずれます。
つまり前日の朝8時が朝の7時になります。全て航空機も何もかも
私はお日様が1時間遅く昇るわけないと思い、前日と同じ時間で会場に行きましたが
やはりほとんどの人は会場に着ていませんでした。数人テスト走行(再調整)をしていたぐらいで
『あ〜やっぱりアメリカなんや』と朝の会場でマコちゃんが入れてくれたコーヒーを飲みながらリラックスしていると
Jeffのクルー達が来てトレーラーからボートなど運び出す手伝いをして自分のボートを並べて準備してると
なんか変
あ!『プロポがない』
なんとベットの横に置いたままで忘れています。

主催者に恥ずかしながら『アイム、フォゲット、マイプロポ』と言い
OKゴーバック !

良かったです何時もより早く来ていて、何とか試合開始には間に合いました。
最後の4ラウンド目の残り試合の開始です
スポーツハイドロ3位、
Xモノ艇25点(アウトラインに流れ後方から来たボートがひっくり返り反則技で回収命ぜられた))
XCAT1位、次はリガー艇です
今日までまったく良いところがありません、1位、25点、25点ですから
もうあとはコースレコードを打ち立てることしかありません。

ココで作戦を立てました
いままで嫌な顔せず助手を務めてくれた
人の良い日系アメリカ人のリチャードに次のレースの助手は『アランゾ』にやってもらう
と告げた。

『大熊てやつは人間味がないやつ』と自分でも感じていたが
このままでは帰国できません、何とか一矢報いたい。

アランゾは今回でも総合優勝した実力者です。
昨年は彼から助手としてのアドバイスにはずいぶん助けられていた。

ついに順番が回ってきた。
なんと! リチャードが『ボートは俺が投げるよ』といってピットに入ってくれた
うっ〜 涙で曇って見えない ←てことはないけど...心が痛みます
エンジンスタート後ボートスタンドにのぼりアランゾに『コースレコードを狙うから』ヨロシク

自分でも最後の舞台とブルブルと異常に興奮していたのを覚えています。

目で合図しボートを投げ込んでもらった
バォ〜スロットル全開! リチャードはずぶ濡れ状態 すみません
スロットルをまったく緩めません

助手のアランゾが『イジーイジー』
と何度も言っているのが聞こえていたのですが
「このくらいではひっくり返る俺のボートじゃない実力を見せてやる〜」
カウントダウンが始まりスタート前8秒くらいの時、皆の引き波で

クチャッと簡単に『ひっくり返りました』0点
アランゾと顔あわせバカじゃ〜n ”H”とゆう雰囲気が
『だから言ったじゃないの』と彼が
私は思わず『ファック、ミー』と叫び自分を罵倒しました
うなだれていると彼が肩をたたき『じゃ〜』と優しく言った。

リチャードを踏み台にして結果がこれですから、まったく自分が嫌になりました。

ほ〜っとため息ついている暇は有りません
次はXハイドロですリチャードが助手で25点です、中盤から2位です
『これで決勝に残れると思った矢先』
最終コーナーを攻めすぎ6番ブイにスポンソンをかすめひっくり返りました。
『あと5センチ外側だったらお前の勝ちだった』とバトルしていた助手の青年に言われた
後で分かったのですが順位を落としても十分に決勝に残れる可能性があった。何をそんなにあせっているのか
やはり歯車が少し狂うときつい結果が。
昼食はスポンサーからの差し入れでピザが用意されてこれはいけました。
PM2時ぐらいから4ラウンド合計得点の上位6人で決勝ラウンドが始まります。

あ〜俺は終わったなと思って順位表を見ると

OKUMA HIROYUKIの名前が2クラス
『G1-CAT』と『GX1-CAT』が決勝戦の切符を持っていました。
CAT艇は画像を見れば判るとおりカウルもないし
2年前に応急修理したペットボトルで作ったキャブカバーで貧祖な感じのボートです
私に見放されているボートが貢献してくれています。なんてこった !

そういえば全て完走し2位とか多かったな〜
とりあえず2タイトル入賞できるわけで少し良かった。

決勝ラウンドは各艇全部にジャッジが1人づつ付きます。
これは見ごたえ有りますよ
全員そろってスタートしますので見ているほうもゾクゾクします。
決勝に残っている人はやはり全員上手い!

表彰が始まり私は、XCATで3位の小さなカップとCATで5位の楯を獲得できました。
私の後ろのスティーブはボートの綺麗さで1位、同じテント仲間のロジャー(メガネの白髪頭)もいつもかなりの数の入賞を果たしています。
Jeffを筆頭にみな入賞を果たしていました。 Jeffの指先に注目
アメリカ人は片付けるのが早いですよ〜 動きが素早いシャッシャーと
私も皆と一緒にテントもテーブルもバタバタとトレーラーに積み込みます。

彼らは何時もどこかで食事してから解散するみたいですアメリカンの食事だから一緒に行くことは有りません。味がね〜
『”H”一緒に行くか〜?』と一応言われますが、”ノーフライドライス”とかJeffが日本食を馬鹿にして言います、それ中華じゃん!

最後の別れの言葉を交わし『また来年会えると嬉しいよなっ』で顔で...

あ〜また一人になりました何時もこうです、後片付けが遅いのでほとんど人がいなくなったころに会場を後にします。
あたりもライトを点灯し始めるこの時が超〜超u寂しい
『あ〜終わった』と感じる時です。

でもベガスではオサム君達の家に泊めてもらってるのでずいぶん気が楽になります。

食事は昨日のハローウィーンパーティーの残り物と何時もどうり赤ワインと小宴会
失敗談など話しながら会話が進み、マコちゃんが『でもおじちゃん、良く頑張ったね』と言ってくれて子供みたいに嬉しくなりました。
明日のボートを清掃する段取りを考えながら寝ました。